映画ドラえもん公開直前スペシャル

 3月3日(金)の「わさドラ」は、映画ドラえもん公開直前スペシャル。作品は一本のみの放送で、あとは翌日から公開される映画『のび太の恐竜2006』のダイジェスト紹介だった。映画の見どころとなる場面を流しつつ、その映像をタイムパトロール隊員2人がモニターで監視するという趣向で進められた。一瞬、このタイムパトロール隊員2人の場面が映画のなかにあるかのように思えるが、これは今回の番組のために作られたものだ。



●「自然観察プラモシリーズ」

初出:「小学五年生」「小学六年生」1991年2月号同時掲載
単行本:「てんとう虫コミックス」45巻

【原作】
〝自然観察プラモシリーズ〟は、チョウやカエル、ツバメなど卵から生まれる生き物の成長を観察するためのプラモデルだが、それを完成させるさい手作業で行なうのは、半分に割れた球体を接着剤で貼り合わせるとか飾り台を組み立てるくらいで、卵から生まれたプラモは、本物の生き物の生態をなぞるように自ら成長していく。『ドラえもん』には、卵から何かが出てくるネタや、生き物の成長をモチーフにした話がいくつかあるが、この「自然観察プラモシリーズ」もそのひとつである。
 そして本作は、藤子・F先生が大好きなプラモデルを題材にした話でもある。F先生が人生で初めて遭遇したプラモデルは、アメリカ製の〝アラモ砦 戦場情景セット〟だった。欲しくてたまらなかったが、結局高くて買えなかったそうだ。F先生は、そうしたジオラマ(情景の模型)への愛着がひときわ強く、無人島いっぱいに鉄道模型ジオラマを作りたいと自らの夢を語ったことがある。本作でドラえもんが紹介する〝TOKYO二十二世紀〟というプラモは、縮尺百分の一、東京中の建造物や地下街、交通機関までを精密にミニチュア化したもので、F先生個人の夢がぞんぶんに詰め込まれたアイテムと感じられる。
(参考文献:「タミヤニュース」1985年1月号)



わさドラ】(え?成長するプラモ? 自然観察プラモシリーズ)
 今回のアニメ最大のアレンジは、最後の場面にあった。巨大恐竜のプラモによる骨川邸の破壊行為が、原作より激しく大胆に描写された。原作では窓が一箇所壊され庭が荒らされる程度で済んだ骨川邸の被害が、ずっとずっと甚大なものになったのだ。
 恐竜プラモが家のなかを次々壊したあげく家の壁を破って首と尾と手足を外に突き出したので、骨川邸がまるごと亀の甲羅のような状態になってしまった。入浴中だったスネ夫のパパがタオル1枚のあられもない姿で庭へ飛び出しきたりと、骨川一家は大パニックである。


 スネ夫個人の被害としては、ジャイアンが空き地でスネ夫のためだけに歌を歌うという場面もあった。歌い終えたジャイアンがおやつを食べに一旦帰宅したとき、スネ夫が「戻ってこないでね、2度とここに」とつぶやいたのには笑った。


 自然観察プラモシリーズは、まるで本物の生き物のようなプラモだけれど、プラスチックっぽいテカテカした質感が表現されたおかげで、“自然の生き物そっくりな人工物”という感覚がよく伝わってきた。




 この日は、スキマスイッチが、20時からの「ミュージックステーション」(テレビ朝日)と、24時25分からの「ポップジャム」(NHK)に出演し、「ボクノート」を歌った。トークのコーナーでは「ボクノート」創作秘話や映画アフレコ体験を語ったりして、映画公開前夜を適度に盛り上げてくれた。「ミュージックステーション」のシングルCDランキングで、「ボクノート」は8位にランクイン。



 さて、いよいよ4日(土)から映画『のび太の恐竜2006』が公開される。昨年は公開が見送られたので、2年ぶりの映画ドラえもんとなる。そして、リニューアル後初の映画ドラえもんということにもなる。
 映画ドラえもんの記念すべき第1作『のび太の恐竜』に新たな命が吹き込まれ、今の世に送り出されるのだ。作品そのものにも宣伝活動にも非常に熱が入っている。
 映画ドラえもんの長い歴史は、この作品で大きな節目を迎えることになりそうだ。