藤子A先生と寝台列車「北陸」

 ブルートレイン:さよなら「北陸」
 

 首都圏と北陸を結ぶブルートレイン寝台特急)「北陸」と急行「能登」の最終列車が12日夜、約3000人の鉄道ファンに見送られてJR上野駅から金沢駅に向かって発車した。


 午後11時3分に「北陸」が惜別の汽笛を鳴らすと「ありがとう」の声と拍手がやまなかった。家族3人で見送りにきた千葉県市川市の会社員、多勢浩さん(42)は「寂しいの一言。ホテルに泊まり、明朝も上り最終列車の到着を見ます」と名残惜しそうだった。


 「北陸」は1950年に上野−大阪間の急行列車として産声を上げ、75年に寝台特急に格上げされたが乗客減に歯止めがかからず、13日のダイヤ改正で廃止される。【斎藤正利、小泉大士】


 毎日新聞 2010年3月13日 東京朝刊
 http://mainichi.jp/select/wadai/news/20100313ddm001040036000c.html

 本日のJRダイヤ改正によって、首都圏と北陸の間を走っていた寝台列車「北陸」が廃止となりました。昨晩、「北陸」の最終列車が上野駅から旅立ち、多くの鉄道ファンが集まったようです。
 この寝台列車「北陸」は、藤子不二雄A先生が生まれ故郷の富山県氷見市に帰省するさい、時間的余裕のある場合に利用していた交通手段です。夜行寝台が大好きなのだそうです。(急ぎのさいは飛行機を利用)
 そんなお気に入りの「北陸」が廃止になって、A先生はさぞかし寂しさを感じておられることでしょう。


 A先生は、ご自分のマンガ作品の中にも「北陸」を何度か登場させています。
 たとえば、『少年時代』の連載第1回の冒頭にこんなナレーションがあります。「昭和53年夏のある夜…ぼくは上野駅21時18分発の特急「北陸」に乗った。つぎの朝の4時ごろ…寝台車の窓に夜あけの日本海がみえてくる…」
 また、『笑ゥせぇるすまん』の「寝台車の男」という話では、寝台列車「北陸」の車内が主な舞台となっています。この話に登場する男が語る寝台列車の魅力は、A先生が寝台列車へ抱く思いと通じ合っているのでしょう。