野村亮馬『ベントラーベントラー』

「SFが読みたい! 2011年版」(早川書房、2011年2月発売)のSFコミックベスト10で『ベントラーベントラー』全3巻(野村亮馬講談社、2009〜10年発行)が筆頭に挙げられていました。私はこの作品が好きなのでちょっと嬉しかったです。
 
ベントラーベントラー』は、地球外より侵入した生物や漂着物を処理する首都圏民営警察外星生物警備課の仕事を描いた一話完結スタイルのSFマンガです。のほほんとした、すこしふしぎ系の作品で、そこが魅力。普通の街を舞台に日常感をベースにしつつ、そこに入り込んできた地球外の生物や物体の不思議さや奇妙さを描いていて、そのへんのバランスがうまいです。
 登場人物たちがのほほんとしているのですが、のほほんとしつつもハードなミッションをこなしたりしているところが見どころです。主人公の女性・牧原さんと外星人クタムの漫才めいたコミュニケーションも楽しいです。それから、地球外の生物や物体の奇抜なデザインが面白い。
 この作者、SFが好きなんだなあ、ということがよく伝わってくる作品です。


 ささやかながら藤子ネタも見つかります。タイムマシンで過去へ戻ることができないというくだりの中で、クタムが「ごめんね…僕ドラえもんじゃないのです…」と言う場面があるのです(笑)