藤子・F・不二雄大全集第3期完結!

 本日、藤子・F・不二雄大全集第3期第13回配本の2冊が発売されました。
 これにて第3期が完結。第1期からの通巻が計100巻に到達しました。全集は第4期に続くとはいえ、これは大きな大きな区切りとなります。


 そんな記念すべき第3期完結回に刊行されたのが『ドラえもん』20巻と『UTOPIA最後の世界大戦/天使の玉ちゃん』です。


 ●『ドラえもん』20巻 
 
小学館BOOK・小学生ブック」「少年サンデー増刊号」「コロコロコミック」などで発表された作品を収録。さらに、『ドラえもん』として描き直される前の雑誌版『ドラミちゃん』や、1975年度の「小学四年生」で連載された『ドラとバケルともうひとつ』も特別収録して、こだわり抜いた一冊となっています。
 これで『ドラえもん』全話が単行本に収録される!という大事業が完遂されたことになります。偉大な達成です。



 ●『UTOPIA最後の世界大戦/天使の玉ちゃん』
 
 この巻が、藤子・F・不二雄大全集100冊目にあたります。
『UTOPIA最後の世界大戦』は、藤子先生初の単行本、しかも描き下ろしのSF大作です。鶴書房から刊行されたオリジナルの単行本にン百万円という古書価格がついたことでも知られていますね。
 昨年、小学館クリエイティブからオリジナル単行本の復刻版が発売されましたが、今回の全集版は藤子・F・不二雄先生の蔵書を底本にしているところにこだわりが感じられます。(小学館クリエイティブ版の底本は、松本零士先生の蔵書でした)


 そして『天使の玉ちゃん』! 
 藤子先生のデビュー作としてタイトルだけは紹介される機会がよくあったのですが、これまで一度も単行本に収録されたことがありませんでした。この作品をまとまったかたちで再録したといえば、1996年に発行された藤子不二雄ファンサークルマガジン「Neo Utopia」第23号がありますが、このとき再録されたのは16本でした。それが今回の全集では全26本が収録されたわけで、ついに、ついに、『天使の玉ちゃん』の全貌を見ることができるようになったのです。
 60年の時を経て藤子先生のデビュー作の全貌が明らかになったのですから、歴史的快挙です。
 巻末の解説は藤子不二雄A先生! ここに来てようやく登場してくださったという感じですが、この巻の解説に最も適任の人選です。A先生の解説文の半分ほどは昭和26年当時の日記(『二人で少年漫画ばかり描いてきた』で読める日記)からの(語句を若干修正したうえでの)引用でしたが、ともあれこの100巻目にA先生が解説を書かれた事実がとても大きいのです。
 
『UTOPIA最後の世界大戦/天使の玉ちゃん』は藤子・F・不二雄大全集のなかで圧倒的に薄い本になりましたが、内容的には通巻100冊目にふさわしい記念碑的な一冊です。



 第4期の概要が発表されました!
 http://www.shogakukan.co.jp/fzenshu/4thseoson/sokuho01.html
 第4期は、来年初頭より全15巻が毎月1冊ずつ発売されていくようです。まだ1年以上ものあいだ全集の刊行を毎月楽しみにできるなんて嬉しい限りです。
 詳細な刊行スケジュールなどは11月頃発表の予定ですが、第1回配本は、講談社学年誌で発表された名作物を集めた『ユリシーズ』(計4作収録)、第2回配本は『とびだせミクロ』1巻だそうです。
 とにかく第4期に刊行される作品は『オバQ』で藤子不二雄がブレイクする以前のものばかりで、『ユリシーズ』を除けば全て単行本初収録という、まことに凄いことになっています。これで、昭和30年代の若かりし頃のF先生の仕事をつぶさに見渡すことができそうです。
 全巻購入特典はまだ企画中とのことですが、F先生のマンガ作品の「断片集」になる模様。これも大いに楽しみです。