藤子・F・不二雄大全集『山びこ剣士』

 25日(火)、藤子・F・不二雄大全集第4期第5回配本『山びこ剣士』が発売されました。
 
 1956年〜58年に「漫画王」で発表された時代劇短編6作品を収録。
 各作品をごく簡単にレビューしてみます。


●『竹光一刀流』:わけあって真剣での勝負をしないと誓った少年剣士が主人公。彼を3人の剣士がつけねらう。3人にそれぞれの意味・役割があり、主人公が真剣を使わない理由も絡んできて、若きF先生の優れた構成力が感じられる。
●『山びこ剣士』(1)(2):平和主義を保ってきた理想郷的な国が、隣国の戦に協力するよう持ちかけられる。戦をしない国が他国から戦をしかけられたら、どう決断するのか…。読み応えのある作品。
●『海の快剣士』:海が舞台。時代劇だが潜水艦が登場する。ある意味この潜水艦が主役!
●『電光豆剣士』:後年F先生が『ドラえもん』「ぼく、桃太郎のなんなのさ」や『T・Pぼん』「白竜のほえる山」などで描いた“あのお話の登場人物は実は●●だった”というアイデアが、初期作品らしくもっと素朴なかたちで投じられている。
●『かげろう剣士』:弱虫の少年剣士&それを手助けする少年剣士のコンビが活躍する、軽妙なタッチの作品。
●『宝さがし武勇伝』:空腹の老人を助けてみたら…。全5ページのほのぼのユーモアマンガ。
 6作品中4作品が『〜剣士』というタイトルですね。



 さて、藤子・F・不二雄大全集第4期全巻予約特典「Fピース」が22日に届いたわけですが、これ、中身を眺めれば眺めるほど恍惚としてくる画集です。
 たとえば、このページ!
 
 単行本収録時の加筆修正のため部分部分を切り抜かれた初出原稿がこうして印刷物に収録されるミラクルにグッときました! 初出原稿から切り抜かれた断片が単行本収録バージョンでどのように使われているか確認するのも楽しいですね。


ドラえもん』の未使用原稿も何枚か収録されています。
 
 実際に使われた原稿と「Fピース」で紹介された未使用原稿を比較しながら、なぜF先生がこれを使用しなかったのかを想像・推理するのも一興でしょう。


 F先生がプライベートで描かれた風景のスケッチまで収録されています!
 
 マンガ作品で見られる画風とは少し趣の違うF先生の絵を味わえます。


 こんなふうに「Fピース」は、通常なら埋もれ続けたであろう数々のお宝が惜しみなく収録されていて、たまらない画集なのであります。
「Fピース」がもらえる予約申込みの締切は、今月30日です! 予約がまだの方はお忘れなきよう。
 http://www.shogakukan.co.jp/fzenshu/4thseason/fpiece/fpiece.html



※本日(26日・水)付「朝日新聞」朝刊の文化欄に藤子不二雄A先生のインタビューが載っています。「「まんが道」44年で完結」「実体験がドラマ」という見出し。