藤子・F・不二雄大全集『とびだせミクロ』2巻

 先月25日(木)、藤子・F・不二雄大全集第4期第6回配本『とびだせミクロ』2巻が発売されました。
『小学二年生』『小学三年生』で発表された話を完全網羅した一冊。『とびだせミクロ』の完結巻になります。
 
 見た目には少しも擬人化されていない飛行メカ・ミクロから、知性や感情、人格のようなものを感じられるエピソードがあって、ミクロへの親愛の情が深まります。けんちゃんがミクロをあっさり手放してしまう『ミクロとマクロ』や、最終話の『さよならミクロ』がそうした内容です。


 流れ星を引き寄せる機械、引力を消す装置、物事を逆戻りさせる道具など、不思議な発明品がいろいろと登場するところは、のちの『ウメ星デンカ』『ドラえもん』『キテレツ大百科』などに通じていて興味深く、読んでいて楽しいです。
「グラタン博士のアベコベ作戦」という話に“アベコベ電波とウソツキ電波の発射装置”が出てきます。アベコベ電波を感受した人は、自分が思っていることと反対のことをするようになります。『ドラえもん』の「コベアベ」を思わせる機能ですね。


「怪人・ゴルゴン」には、目から出す光線で人を石にする怪人が登場します。人が石になるといえば、なんといっても大長編ドラえもんのび太の魔界大冒険』です! あまりに有名なシーンですが、魔界から追ってきたメジューサによってドラえもんのび太が石にされてしまうのです。石化したドラえもんのび太は、物語の伏線として重要な働きをしており、強く印象に刻まれます。
 ほかに、“目から出す光線”で人を石のように固めてしまう「ゴルゴンの首」(『ドラえもん』)も思い出されます。



 1巻に動物が人間化する「サーカス戦争」という話が収録されていましたが、それとは対照的に、本巻には「人間動物化そうどう」という人間が動物化する話が収められています。



 地球人を襲撃・侵略しに来た怖い宇宙人も出てくれば、『カレルの星のチル』『氷の城のチッピー』といった、けんちゃんたちとの友情が芽生える宇宙人も登場します。


 解説は、評論家のおしぐちたかしさん。『すすめロボケット』をリアルタイムで読んでいた方です。ロボケットの玩具を作ってほしいという願いに同意です。



※7月30日(火)発売の「女性自身」8月13日号(光文社)の「シリーズ人間」No.2142に藤子不二雄A先生が登場していると聞いて購入しました。
 
 7ページにわたるインタビュー記事で、A先生はじめ『愛…しりそめし頃に…』担当の小学館・石橋嘉仁さんや『PARマンの情熱的な日々』担当の集英社・渡邊真さんのコメントを紹介しながら記事がまとめられています。