ちょっとだけですが藤子ネタが見つかった本

 直接的な藤子本ではないものの、読んでいたら少しばかり藤子ネタが見つかった本を2冊紹介します。

 どちらも3月下旬に発売された本です。

 

 ■ザ・カーナビーツ物語』(編著・名和広、監修・越川ヒロシ、3月24日発売)をAmazonにて入手しました。

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 1960年代終盤に日本で巻き起こったグループ・サウンズ(GS)の熱狂的ブーム。その一翼を担ったザ・カーナビーツの目線からGSブームを徹底的に振り返り検証した回顧録です。GSブームの記録と記憶と熱気がこの一冊に詰め込まれています。

 ザ・タイガースやザ・テンプターズらと共にGSブームを彩ったザ・カーナビーツ。このグループに関する事柄については、本書より詳しい本はないのではないでしょうか。

 

 本書には藤子ファン的読みどころもあります。カーナビーツが不二家商品のCMキャラクターに抜擢されるくだりです。抜擢された時期が『パーマン』『怪物くん』のモノクロアニメが不二家提供で放映されていた時期と重なって、不二家の店舗では藤子キャラとカーナビーツのポスターを同時に見られたのだそうです。おかげでカーナビーツのファン層が拡大し、ティーンの女性たちばかりでなく小学生低学年、ひいては未就学のお嬢さまがたからファンレターがたくさん舞い込むようになったのです。

 

 GSブームは1967~69年のことでした。私は68年生まれですから、ブームの只中で生まれたことになります。しかし、まだ赤ちゃんだったので個人的な記憶はまったくありません。

 本書は、自分が生まれたちょうどその時代に日本を席巻していたGSブームと当時の文化状況・世相を知るためのありがたい文献となってくれそうです。

 

 

■棚園正一さんの新著『学校へ行けなかった僕と9人の友だち』双葉社)をご恵贈いただきました。発売日は3月27日。届いたのは発売日より数日前でした。

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 前作『学校へ行けない僕と9人の先生』で小中学生時代の不登校体験を赤裸々にマンガ化した棚園さんの、その後の物語です。専門学校、フリースクール、大学などで出会った友を通して体験したこと・感じたこと・考えたことが描かれています。

 前作ではフツウでないことに悩んだ主人公(棚園さんご自身)が、続編の本作ではちゃんとした大人になれないことに悩みます。

 そんな日々の折々で出会った友との交遊のなかで、彼は勇気づけられたり新たな気づきを得たりします。時には、友と自分を比べて落ち込んだりも…。

 読んでいて、何度も目頭が熱くなりました。

 

 主人公にとって何よりも心の支えであり夢でもあるのがマンガです。そのマンガが順調に行かず壁にぶつかることもありました。でも彼は描き続けました。

 そしてついに新人賞を受賞!

 しかし……。

 不登校児のその後を描いた本作は、“棚園正一版まんが道”としても読みごたえを感じました。

 

 棚園さんは集英社手塚賞赤塚賞両方の受賞経験者でして、この『学校へ行けなかった僕と9人の友だち』には棚園さんが出席した手塚賞赤塚賞受賞記念懇親パーティーの場面があります。そのパーティー会場に藤子不二雄Ⓐ先生(をモデルにしたと思われる漫画家)のお姿を見つけました!