キッズ・ポケット・ブックス『ドラえもん のび太の地球を救え! 』を古書店で購入しました。1995年に発行された本です。
国の「環境基本計画」が作られた背景や理由、それがめざしている内容などを、子ども向けに『ドラえもん』のマンガで解説した本です。
マンガを執筆したのは、三谷幸広先生。藤子スタジオに在籍経験のある漫画家さんです。マンガ監修者として藤子・F・不二雄先生のお名前もクレジットされています。
このマンガを読んでみると、物語内の時系列が『大長編ドラえもん のび太の創世日記』の後日譚になっていました。『のび太の創世日記』の作中でのび太らが過ごした夏休みが終わったあとの出来事として描かれているのです。
夏休みに(すなわち『のび太の創世日記』の作中で)のび太らが創世セットを使って行なった自由研究の内容を、夏休み明けの教室で先生が紹介するところから話が始まります。そののび太の自由研究を機に現在の環境問題についてもう少し勉強しよう、と先生が言い出し、この地球を救うために私たちに何ができるのかというテーマで宿題を出しました。
ドラえもんは宿題に協力するため、夏休みに使った創世セットを再び出します。
創世セットでつくった地球は機械文明に入ったところでストップしていました。その続きの歴史を、のび太、しずちゃん、ジャイアン、スネ夫の4人が神様になることで進めてみよう、とドラえもんは提案したのです。
4人がそれぞれ別の国の神様になりました。
スネ夫が「文明をどんどん進歩させて、便利なものをたくさん作って…お金持ちの国をつくるぞ」と言うと、
ジャイアン「物を作らないでも大金持ちになれる世界をつくろう」
しずちゃん「緑がいっぱいでのんびりした世界がいいわ」
のび太「動物がいっぱいで、ターザンみたいな生活がしたいな」
と、それぞれが望む国のありかたを表明し、いよいよ神様活動を始めるのでした。
そんな具合に、『のび太の地球を救え!』のマンガは、『のび太の創世日記』の後日譚的なストーリーなのです。『のび太の地球を救え!』は1995年8月10日初版発行、『のび太の創世日記』の初出は「月刊コロコロコミック」1994年9月号~1995年3月号ですから、作品が発表された時期や前後関係を見ても実に後日譚的なタイミングです。
『ドラえもん』のキャラクターを使って藤子F先生ではない方が環境問題テーマのマンガやイラストを描くような企画は1990年代くらいから数々あったと思うのですが、今回買った本はその点が藤子ファン的にちょっと興味深いなと感じました。