今年6月9日の話です。
上野の森美術館で開催されていた「特別展 恐竜図鑑」を観覧しました。
19世紀の恐竜発見以降数多く描かれてきた恐竜の復元画。その歴史と変遷をたどる展示でした。じつに興味深くて面白かったです。
・会場に入ったばかりの景色です。
歴史のうえで最も初期に発見された恐竜がイグアノドンです。
イグアノドンは、研究が進むにつれて描かれる姿が大きく変わっていった恐竜の代表格。この展覧会で最もスポットを浴びていた恐竜がイグアノドンかもしれません。
・記念撮影スポットで模型化されたのもイグアノドンでした。
イグアノドンがこんなにも注目を浴びる恐竜展も珍しいのではないでしょうか。
展示順路の序盤では、現在知られている姿とはだいぶ違う、かつてのイグアノドンの姿をいろいろと堪能できました。
これら4枚の絵に描かれているのはどれもイグアノドンです。
・恐竜研究黎明期のイグアノドン(1853年)と現在知られているイグアノドンの比較。
そんなふうに、時代によってさまざまに姿を変えてきたイグアノドン。その中でも私の原体験イグアノドンはこれ!
・ズデニェク・ブリアンの描いたイグアノドン(1950年)です。
この姿のイグアノドンは、たとえば藤子・F・不二雄先生の『T・Pぼん』「バカンスは恐竜に乗って」(初出:少年ワールド1979年5月号)に登場しています。
・藤子・F・不二雄『T・Pぼん』「バカンスは恐竜に乗って」より比較のため引用
ズデニェク・ブリアンの描いたイグアノドンと『T・Pぼん』「バカンスは恐竜に乗って」のひとコマで描かれたイグアノドンを比較すれば、藤子F先生がズデニェク・ブリアンのイグアノドンを参考にしたことは明らかでしょう。
全体的にワクワクする展示内容でしたが、なかでも、自分が子どものころ恐竜図鑑や雑誌の写真記事などでよく見ていた“かつての恐竜たちの姿”に、最高にワクワクしました。『のび太の恐竜』などで藤子F先生が描いたあの恐竜たちの姿です。いま紹介したズデニェク・ブリアンのイグアノドンもそうです。
すなわち、尻尾を引きずってノシノシとゆっくり歩く恐竜……。ほぼ直立状態で立って歩くティラノサウルスやアロサウルス……。そういう姿が、私の子どものころ見慣れた恐竜の形態だったのです。
・こうした姿が私の恐竜原体験であり、今回の展覧会のなかでも最もワクワク感を与えてくれたのです。
しかしその後“恐竜ルネサンス”が起こって、恐竜の姿に大きな変化が生じました。その新たな姿は、映画『ジュラシック・パーク』などで世界に広まっていったのでした。
恐竜ルネサンス以降の恐竜を姿を反映した絵画で藤子ファン的に印象的だった作品を紹介します。
■小田隆「饗宴」(2000-01年)
ユンチュアノサウルス、マメンチサウルス、トウジャンゴサウルスを描いた絵画です。私は、『ドラえもん』の「恐竜さん日本へどうぞ」が「月刊コロコロコミック」に再録されて読んだとき、これらの恐竜の存在を初めて知りました。
(「月刊コロコロコミック」再録時の「恐竜さん日本へどうぞ」のタイトルは、初出時と同じ「恐竜たちに「招待錠」を」だったと記憶しています)
■ダグラス・ヘンダーソン「隕石衝突」(1989年)
『のび太と竜の騎士』や『のび太の新恐竜』を思い出す絵画です。
恐竜の展覧会はさまざまに開催されてきましたが、これは恐竜の復元画に着目するというユニークで面白い企画展でした。開催期間中に東京へ行けてよかったです。