ぴっかぴかコミックス『ドラえもん』17巻

koikesan2007-10-04

 10月1日(月)、ぴっかぴかコミックスドラえもん』17巻(小学館/2007年10月6日初版第1刷発行)が発売された。
 収録作品は以下のとおり。

「オキテテヨカッタ」/小三1980年12月号/TC23・FF32
「マッチ売りのドラえもん」/小二1974年12月号/TC8・FF34など
「タタミの田んぼ」/小四1974年1月号/TC2・FF8など
「声のかたまり」/小二1976年10月号/TC12・FF17など
「温せんロープでいい湯だな」/小四1980年10月号/TC22・FF31
「グラフはうそつかない」/小三1975年2月号/TC8・FF19
「旅行窓セット」/小三1987年5月号/未収録 
「手品ふろしき」/小一1971年9月号/未収録
「デンデンハウスは気楽だな」/1975年7月号/TC9・FF14など
「トロリン」/小五1976年8月/TC45・FF7
ツチノコさがそう」/小五1974年7月号/FF4
「正直太郎」/小三1973年9月号/TC2・FF14


※リストの見方 「サブタイトル」/初出誌/これまでの単行本収録状況(TC…てんとう虫コミックス FF…藤子不二雄ランド

 単行本初収録作品が2編、てんとう虫コミックスに未収録だった作品が1編ある。
 個人的にはもう何度も読んだ話が大半だが、今回ひととおり読んだ感想を簡潔に記しておく。(未収録作品のネタバレがあるので未読の方はお気をつけを)

「オキテテヨカッタ」
 夜明けが近いから家へ帰りたいとの意思を表明したしずちゃんに対してのび太が発した「まるでオバケだね」というセリフがけっこう好きだ。「まるでオバケ」というストレートかつちょっと失礼な比喩が私のツボを軽く刺激してくれる。


「マッチ売りのドラえもん
 凍えるドラえもんのび太があたたかいものをいろいろイメージしたなかに、大火事になった街のシーンが含まれているのが何気なくブラックユーモアだ。


「声のかたまり」
 のび太ジャイアンに泣かされる理由をのび太自身がきとんと自己分析して説明しているところが可笑しい。のび太の自己分析は自虐的といえるものだが、それが実に的を射ていて客観性があるところにのび太の悲哀を感じる(笑)
「描き文字」というマンガ表現の約束事のひとつを、作中で物象化してしまうというアイデアが卓抜で愉快。


「温せんロープでいい湯だな」
 温泉につかって「頭がよくなった気がする」と言うのび太に対してドラえもんが出した算数の計算問題があまりに初歩的すぎて可笑しいのだが、その問いに対するのび太の堂々とした誤答と、その誤答を聞いたドラえもんの表情がさらに笑いを誘う。思わずプッと吹き出してしまう。


「手品ふろしき」
 最後のコマでちゃんとオチがついているのだが、手品ふろしきで2人ずつになってしまったドラえもんのび太の「どっちが本物?」という問題は放置されたまま(笑)


「デンデンハウスは気楽だな」
 ジャイアンの「ばかのくせに人をばかにするとはけしからん!」というセリフにインパクトを感じる。たしかに筋が通った理屈ではあるのだが、「ばかのくせに」という一刀両断が妙に強烈で、なんだかジャイアンがひどく理不尽なことを言っているように聞こえる。


「正直太郎」
 思ったことをいちいち口にしていたら人間関係はぜんぜん成立しないという人生の真実を改めて痛感。同様の真実を大人の世界を舞台に描いたのが、SF短編『テレパ椎』だ。