「定本コロコロ爆伝!! 1977-2009『コロコロコミック』全史」発売!

 先月29日か30日ごろ、飛鳥新社から「定本コロコロ爆伝!! 1977-2009『コロコロコミック』全史」というすごい本が発売されました。

 http://natalie.mu/comic/news/show/id/16682


 1977年に創刊して以来30年以上の歴史を刻んだ「コロコロコミック」の魅力を網羅的かつ徹底的に取材・紹介した本で、「コロコロコミック」を愛読して子ども時代をすごした人々にとって実に懐かしく面白く新たな発見のある内容になっています。全480ページという大ボリュームのなかに、コロコロに関する話題がギッシリ楽しく熱烈に詰まっています。「爆伝」という、燃える魂を感じさせる造語がまさに「コロコロ」っぽいです^^ 心が燃え、胸が躍ること必至の一冊です。


コロコロコミック」といえば、創刊当時から80年代にかけては“ドラえもんの雑誌”“藤子マンガの雑誌”と言っても過言ではない内容でした。ですから「定本コロコロ爆伝!!」は、藤子ファンとして見ても、たいへん読み応えのある要注目本なのです。
 この本を藤子ファン目線で見れば、なんといっても101ページから150ページまで続く「『コロコロ』の魂・藤子マンガ」の章が圧巻です。藤子・F・不二雄先生と親交のあった編集者さん、漫画家さんがたの証言集と、藤子不二雄A先生へのインタビューで構成されています。藤子F先生のお人柄が伝わってくるエピソードや作品の創作秘話がいろいろと読めて、非常に得るものが多く、なんだか心が贅沢な気分になってきます。『のび太の鉄人兵団』で消えたはずのリルルが最後にふと姿を見せるカットはなぜ加えられたのか、『宙ポコ』の連載はなぜ3回で終わってしまったのか、『ドラえもん誕生』という話を依頼されたときのF先生の反応は? F先生が買ったばかりのワープロで打ち込んだ『平家物語』という文章の中身は? といった感じで、F先生と親交のあった方々ならではの貴重な証言が披露されていきます。藤子A先生のインタビューでは、A先生のヒゲを生やした写真が見られて素敵です^^
 巻頭のカラーページで二人の藤子先生が並んだ写真を見られるのも嬉しいなあ。


「定本コロコロ爆伝!!」は、とにかく関係者への取材を徹底的に行なっているのが特徴。関係者50名以上に取材したといいます。「コロコロコミック」に連載していた漫画家はもちろん、歴代編集長、編集者、デザイナー、ホビー関連の担当者など、「コロコロコミック」に携わったたくさんの方々の証言が一挙に読めるのです。「コロコロ」が作られていた現場では、どんなことがあったのか、携わった人たちはどんな考え、どんな気持ちでいたのか、そんな興味深い話がてんこ盛り。
 「少年ジャンプ」の編集長をつとめていた鳥嶋和彦さんのインタビューまであるのが意外な感じですが、じつは「コロコロ」は「ジャンプ」をライバル視していた面があったようですし、鳥嶋さんもジャンプ編集部で「マガジン」よりも「コロコロ」を意識しろと言ったんだそうです。ライバル関係というと、どうしても「コロコロ」×「ボンボン」、「ジャンプ」×「マガジン」といった見方をしてしまうので、「コロコロ」×「ジャンプ」という図式の提示は新鮮でした。

 巻末に載った「コロコロコミック」32年分の歴史年表は労作です。これで「コロコロ」の歴史がわかりやすく俯瞰的に概観できます。



「定本コロコロ爆伝!!」の編著者・渋谷直角さんは、いろいろな雑誌で記事を書いているライターさんです。以前、角川書店マンガ雑誌コミックチャージ」に『へっポコ!』というギャグマンガも連載していました。(『へっポコ!』は渋谷直角さんと石川勝也さんの合作) 昨年2月に一度渋谷さんとお会いしたことがあって、そのとき渋谷さんがこの本の準備を進めていると知り、いつ発売されるかと楽しみにしていました。発売日が予定よりずいぶん遅れたみたいですが、なにしろ「コロコロコミック」の長い歴史を思い入れたっぷりに扱った本ですから、そのぶん完成させるまでに時間とエネルギーを要したのでしょう。

「藤子リスペクトお下劣ギャグマンガ『へっポコ!』の作者と会う」
 http://d.hatena.ne.jp/koikesan/20080211


 この本には私もごくわずかながらネタ提供をしておりまして、巻末の参考資料欄に当ブログの名も記載されています。ほんのわずかな関与でしたが、この魅惑的なこだわり本に少しでも参加できた(ような気分になれた)ことに喜びをおぼえます。
 そういうご縁もあって、渋谷さんから本書を献本していただきました。感謝感激です!
 


 渋谷さんのブログで「コロコロ爆伝!!」のさわりが見られます。「空前絶後の特濃バラエティブック!!」という形容はまさに言い得て妙ですね。
 http://chokkaku.jugem.jp/?day=20090527

 
 このボリュームで定価1600円+税というのはお買い得だと思います。この厚さのわりに造本が軽くて読むのに疲れないのもイイです^^