企画展「少年少女漫画雑誌の歩み」

 愛知県の安城市歴史博物館で開催中の企画展「少年少女漫画雑誌の歩み」に行ってきました。
 
 

・開催期間:平成22年12月18日(土)から23年1月23日(日)まで
・休館日:12月 20日(月)、24(金)
     12月27日(月)〜1月4日(金)
     1月11日(火)、17日(月)
・観覧無料


 戦後まもなく出版された月刊雑誌は、小説や読み物を中心に構成されていました。昭和20年代後半になると各出版社は漫画や絵物語を増やし、誌面のビジュアル化を図ります。そして昭和30年代には豊富な付録も魅力となり、月刊誌は一か月に10種類以上も発行されるという黄金時代を迎えました。今回のミュージアム・スポットでは、岡崎のコレクター田村幸生氏のコレクションを中心に戦後の月刊誌の黄金時代から週刊誌の登場に至る、漫画雑誌の変遷を紹介します。
 http://www.katch.ne.jp/~anjomuse/exhibitions/kikaku/manga.htm

 この企画展で展示されている少年少女雑誌の9割以上が、岡崎市在住のコレクター田村幸生さんの所蔵品でして、今回は、その田村さんご本人に同展へ連れていってもらったのです。


 戦後になって数々創刊され昭和30年代に隆盛を誇った月刊誌と、その後月刊誌を衰退に追い込んだ週刊誌を中心に、戦後の主だった少年少女向け雑誌を概観できる展示会でした。
 少しだけ、展示内容を紹介したいと思います。


 
 戦前の少年雑誌で断トツの雄だった「少年倶楽部」は、1946年に「少年クラブ」と改名して1962年まで刊行されました。少年月刊誌の黄金時代だった昭和30年代には「少年」(光文社)や「少年画報」(少年画報社)に押され気味だったとの印象がありますが、やはり少年月刊誌の象徴的存在は「少年倶楽部」だと思います。
 同展ではもちろん「少年」や「少年画報」の展示もありました。藤子ファン目線で見れば、「少年」には『怪人二十面相』『シルバークロス』『シスコン王子』『忍者ハットリくん』などが連載され、「少年画報」には『怪物くん』『仮面太郎』が連載されていた、ということが重要事項になります。これらの作品は皆、藤子A先生の作品です。A先生は、藤子不二雄時代は掲載誌によって藤本・安孫子どちらがが描くか分けていた、という発言をされていますが、その発言のとおり、当時のメジャーな月刊誌で連載を担当するのはA先生のほうだったことがこれらの作品を見ればよくわかります。


 
 今となってはあまり知られていない雑誌もいろいろと展示されています。


 
 1959年、「週刊少年サンデー」と「週刊少年マガジン」が創刊され、少年雑誌の世界に週刊誌が誕生します。これがやがて月刊誌の黄金時代を終わらせることになります。月刊誌の黄金時代を飾った「少年クラブ」は1962年、「少年」は1968年、「少年画報」は1971年に休刊。
週刊少年サンデー」創刊号から、藤子不二雄初のヒット作と評される『海の王子』の連載が始まっています。そして、藤子不二雄の大出世作である『オバケのQ太郎』も「サンデー」の連載ですね。その後『パーマン』『21エモン』『ウメ星デンカ』とF先生の作品が連載され、「サンデー」は、少年週刊誌のなかではF先生が最も活躍した舞台となりました。というか、それ以外の少年週刊誌でF先生はほとんど活躍されていません^^ A先生の「サンデー」連載作といえば、なんといっても『プロゴルファー猿』が筆頭格ですね。昭和30年代の『ビッグ・1』『くまんばち作戦』などもあります。
週刊少年マガジン」は、「サンデー」と比べ藤子不二雄と縁が薄いのですが、『きえる快速車』『わかとの』『少年時代』などA先生が意欲的な作品を連載しています。


 
 後発の少年週刊誌である「週刊少年ジャンプ」と「週刊少年チャンピオン」。
週刊少年チャンピオン」は、『まんが道 あすなろ編』『魔太郎がくる!!』『ブラック商会変奇郎』などA先生の傑作マンガが連載された雑誌です。
 少年週刊誌といえば、ほかに「週刊少年キング」があります。これも当然展示されていました。『フータくん』『怪物くん』『黒ベエ』『マボロシ太夫』『オヤジ坊太郎』『まんが道』とA先生の代表作や問題作がいろいろと連載されました。


 
「少女サンデー」は、「少年サンデー」の兄妹誌として創刊されましたが、短命に終わりました。



 展示経路の最後では、昭和40年代の少年少年雑誌を読めるコーナーが設けられていました。そこで雑誌をめくって眺めていたら、田村さんが安城市文化財課の課長さんを連れてこられたのでご挨拶。漫画をテーマにした企画展は、この博物館では2度目とのこと。また漫画やサブカルチャー系の企画展をやってください、などと要望しておきました(笑)


 
 入場無料のうえ、ポスターも無料で配られていたのでもらってきました!(左のは、チラシです)