藤子・F・不二雄大全集第2期第9回配本

 25日(月)、藤子・F・不二雄大全集第2期第9回配本が発売されました。『ドラえもん』13巻、『少年SF短編』2巻、『仙べえ』全1巻の3冊です。



■『ドラえもん』13巻
 1973年度生まれ、1980年度入学の小学生が6年間にリアルタイムで読んだ72話を収録しています。
 オバQウメ星デンカ、魔美、怪物くんといった他作品の藤子キャラが登場する「なんでも空港」、『のび太と鉄人兵団』の舞台にもなる鏡面世界が描かれ“ミラー貝入”でお馴染みの「鏡の中の世界」、伊藤つばさちゃんの部屋が公開される「へやこうかんスイッチ」、のび太のパパが危険な冒険をする羽目になる「アドベン茶で大冒険」、大長編ドラえもんじゃないのにジャイアンが男気を出してのび太を助ける「ドラえもんに休日を!!」、クリスチーネ剛田先生の『愛 フォルテシモ』が出てくる「大人気!クリスチーネ先生」、45年後ののび太がやってくる名作「45年後……」、希望的なラストが心をあたためてくれる「具象化鏡」などなど、数々の話を楽しめます。
 解説は、指揮者の西本智美さん



■『少年SF短編』2巻
 朝日ソノラマが出していた「マンガ少年」で発表されたSF短編を12編収録。傑作揃いで読み応えたっぷりです。卓抜なアイデアと絶妙なストーリーテリングが光っています。
 文明の恐ろしさや脆さ、自然の驚異的なパワー、一見素晴らしいことのように思える超能者になること・神様になることのネガティブな側面、体の一部が別個の意思を持ってしまうことの困難、個人だけでなく「人類」という種も歳を取ってしまうことの驚きと切なさ、身近な生物や機械が高度な知性体になってしまう不思議と脅威など、そういったテーマに触れていると、これまで普通だと思い込んでいたことが普通でなくなったような、これまで信じてきた価値観や常識が揺さぶられるような、自分の身近なところでも不思議なことが起こっているんじゃないかと思えてくるような、人間って・自分ってなんだろうと立ち止まって考えこみたくなるような、そんな感覚にとらわれます。そして、少年向けに描かれた作品ということもあって、希望や優しさが忘れられておらず、良い読後感を残すところも特徴的です。珠玉の作品たちが1冊にギュッと詰まっています。
 巻末の特別資料室で各作品の予告カットを集めてくれているのも嬉しいところ。
 解説は、SF作家・新井素子さん。



■『仙べえ』
『仙べえ』は、大都社のスターコミックス全1巻(1976年発行)が唯一の単行本でしたが、この本はプレミア価格が高騰し一時期はン万円(高いときは7〜8万円くらい)もしていました。今でも、そこそこ高額のようです。
 それと、パワァコミックス『ドビンソン漂流記』第2巻(1977年発行)の巻末に、スターコミックス版に未収録の2話が収録されていました。
 今回のF全集版は、すでに単行本に収録されていた話に加え、どの単行本にも未収録だった2話を収めた完全版です。
『仙べえ』は、ネームをF先生、作画をA先生が担当するという珍しいかたちでの合作マンガです。A先生が全体的に作画をしているため、一見するとA作品に見えます。F全集なのにA作品が収録されているような異色の印象を受けます。
 内容的には、不思議な異分子が一般の家庭に居候するという藤子マンガの王道パターンの作品です。この作品における異分子は仙人。
 仙べえが居候する峯野家は、モヤ夫、パパ、ママ、姉さんの4人家族なんですが、家族全員で仙べえの未熟な仙術に翻弄され迷惑をこうむる場面が多いのが印象的で面白いです。仙べえによる女子へのセクハラ発言も幾度かあります(笑) 仙べえは、なにかと迷惑がられる居候キャラなのです。
 どうでもいいことですが、モヤ夫のパパがだんだん恰幅がよくなっていくのがちょっと気になります(笑)
 解説は、コラムニストのブルボン小林さん。



 藤子・F・不二雄大全集の公式ホームページで、第3期が9月よりスタートすると告知されています。ラインナップや特典などの詳細はまだ発表されていません。(デンカ、Oちゃん、モジャ公、ドンモがいます)
 http://www.shogakukan.co.jp/fzenshu/2ndseason/index.html