きのう(10月21日)は「国際ナマケモノデー」でした。こんな記念日もあるんですね。
ナマケモノと言えば、藤子ファン的に真っ先に思い出すのが『笑ゥせぇるすまん』のエピソードのひとつ「ナマケモノ」です。
一日中デレーンと木からぶらさがって寝てりゃいい(ように見える)ナマケモノのことを羨んでやまない不動産会社のセールスマンが喪黒福造の客になる話です。トビラページで「ナマケモノ」とサブタイトルが提示され、直後のひとコマで動物のナマケモノが紹介されてから話が始まります。
途中、喪黒が徹夜でナマケモノの呪術人形をつくったり、ラストでそのセールスマンが本物のナマケモノのごとく一日中木にぶらさがっているだけの人になってしまったり、最初から最後までナマケモノのイメージに満ち満ちた話なのです。
藤子不二雄Ⓐ先生の作品では、ブラックユーモア短編のひとつ『ダル男の物憂い日々』のトビラでもナマケモノが描かれています。リアルタッチのナマケモノです。本編には具体的なかたちでナマケモノは登場しませんが、主人公とその仲間たちの生活ぶりを象徴するものとしてナマケモノが描かれたのでしょう。
あと、藤子・F・不二雄先生の初期作品『すけーとをはいたうま』(初出:「たのしい二年生」1958年5月号別冊付録、原作:ケストナー)に「なまけものの国」が出てきたよな、と思ったのですが、この「なまけものの国」の「なまけもの」とは動物のナマケモノのことを指してはいないですね😄
私にとって『すけーとをはいたうま』は、たちまち遠い場所へ行けてしまう“どこでもドア”のような箪笥が出てくることでも印象深い作品です。主人公たちが観音開きの箪笥の中に入って遠い場所へ移動するさまは、どうしたってどこでもドアを彷彿とさせるところがあります。
けれど、この箪笥の場合、中に入って遠い場所に着くまで少しだけ距離があって、その分だけ歩く必要があります。ドアをくぐると同時に目的地に着いてしまえるどこでもドアと比べれば、目的地到着までちょっぴり時間がかかるのでした。
『すけーとをはいたうま』の主人公たちが「なまけものの国」で“体がデンデンムシ、顔がブタ”の生き物を目撃します。
・『すけーとをはいたうま』に出てきたデンデンムシ×ブタの生き物(藤子・F・不二雄大全集『ぴーたーぱん』(2013年8月28日初版第1刷、小学館発行)の169ページより引用)
この生物は、のちに『ジャングル黒べえ』や『のび太の宇宙開拓史』に出てくる“デンデンワニ”に通ずる構成要素を色濃くもったキメラです。
私は子どものころアニメの『ジャングル黒べえ』で初めてデンデンワニを見て「おもしろい動物だなあ」と感じ、その後『のび太の宇宙開拓史』で再会して驚き喜びました。
体がデンデンムシで顔がワニの動物だから“デンデンワニ”。そのネーミング流儀にしたがえば、『すけーとをはいたうま』のデンデンムシ×ブタの生き物は(作中に名前は出てきませんが)“デンデンブタ”ということになりますね。
その流れでさらに言うと、『すけーとはいたうま』より後年の発表ながら初期作品のひとつ『すすめロボケット』の「ロボケット+ブタ=?」の回にも“デンデンウシ”なんて動物が出てきます。これもデンデンブタやデンデンワニと同様、体がデンデンムシで顔が牛という組み合わせのキメラ動物です。
デンデンブタ、デンデンウシ、デンデンワニ……。こうしてみてくると、藤子F先生は“デンデンムシの体×他の動物の顔”という組み合わせが漫画家生活の初期のころからちょっとお気に入りだったようですね。
デンデンハウスに入ったのび太の姿も、そうした一例に加えたくなるところです。
ナマケモノの話からずれてしまいましたが、こうやって藤子作品について思いつくままにあちこちと話題を移ろわせながら語るのってじつに楽しいひとときだな、とあらためて実感しました(笑)