12月12日、豊島区トキワ荘マンガミュージアムで開催中の特別企画展「ふたりの絆 石ノ森章太郎と赤塚不二夫」を見てきました。
会期:2023.12.9(土)~2024.3.24(日)
絆や友情といった関係性を軸にお二人の青春時代とその作品を紹介していて、じつに意欲的な切り口の企画展でした。トキワ荘時代の作品を中心に、デビュー前からトキワ荘退出後の作品まで、精選された原画を鑑賞できました。
トキワ荘の建物を復元したミュージアムで企画・実施するのにふさわしい展覧会だと強く感じます。このミュージアムだからこそ実現した企画展だともいえましょう。
・椎名町駅をおりると、企画展のポスターや関連展示がいっぱい目にとまります。
・ミュージアム内に入場です。
・玄関で受付をすませ、まずは、ギシギシ鳴る階段で2階へ
2階へ上がって共同炊事場を見ると…
・石ノ森先生と赤塚先生の絆をテーマにした企画展となれば、共同炊事場の風景はおのずとこうなりますね(笑) お二人のトキワ荘エピソードのなかでも特に多くの人の記憶に刻まれた、おもしろいエピソードです。
・2階の赤塚先生の部屋と石ノ森先生の部屋が、企画展にちなんだ撮影スポットになっています。
2階の各先生の部屋を見てからエレベーターで1階におります。「ふたりの絆 石ノ森章太郎と赤塚不二夫」は1階の企画展示室で開催されています。
・企画展に関しては、企画展示室の入口近辺のみ撮影OKで、展示内容は全般的に撮影NGでした。
・企画展示室の入ったばかりのスペースです。
「ふたりの絆 石ノ森章太郎と赤塚不二夫」は第一章から第四章まであります。展示内容のレポートをざっとしてみましょう。
撮影NGですし、記憶に頼りないところもあるので、不正確な記述がありましたらすみません。
■第一章「マンガ家を目指すふたり」
お二人がデビュー前に描いた習作の原稿が展示されています。
赤塚先生の作品では、『ロストワールド』(手塚治虫)の影響で新潟県四ツ合中学時代に描いた『ダイヤモンド島』(1950年)と、新潟の看板屋で働いていたころの作品『シエリフジヨン』(1952年ごろ)の直筆原稿を見られました。
石ノ森先生の作品は、宮城県佐沼高校時代(1954年)寺田ヒロオ先生に批評をもらうため送った『未完成交響楽』と『われない椰子の実』の原稿(複製)でした。
習作時代から才能のきらめきを感じさせる、ダイヤモンドの原石のような原稿です。
第一章でお二人に関する原稿やその他の展示物がほぼ平等な質と量で展示されており、このスタンスはその後の展示でも貫かれています。
■第二章「出会ったふたり」
学童社の「漫画少年」や東日本漫画研究会の「墨汁一滴」などが展示されています。
石ノ森先生の世界一周旅行の写真や、トキワ荘が取り壊されたとき赤塚先生が炊事場から持ち帰った水道の蛇口も見られました。
石ノ森先生と赤塚先生が一緒にいる写真が数枚展示されており、その一枚一枚からお二人の仲のよさが自然とにじんでいて素敵だったなあ。特に、キリンビールの瓶などが置かれたテーブルに赤塚先生が頬杖をつき石ノ森先生がアクビしている写真が好きです。
お二人が体験したエピソードを、石ノ森先生/赤塚先生お二人の文章を並べて紹介する展示も面白かった。同一のエピソードを、石ノ森先生の視点と赤塚先生の視点から読めるのです。
■第三章「トキワ荘のふたり」
ついにトキワ荘時代のエピソードとその作品のコーナーです。
石ノ森先生側のエピソードは「『火の鳥風太郎』の原稿料でステレオ購入」「UFOを探して」「8ミリ映画製作に挑戦」「石ノ森高熱でピンチ」が、
赤塚先生側は「炊事場で深夜浴場」「石ノ森のアシスタントに徹する」「みんなで同じ釜の飯を食う」「ナマちゃん連載」が取り上げられています。
そうした印象的なエピソードがお二人の関係性を示しながら紹介されているのです。
まさに「ふたりの絆」!!
当時描かれたマンガ原稿も、それぞれ数枚ずつ展示されていました。
そして、“石塚不二太郎”や“いずみあすか”、水野英子先生を加えた“U・マイア”といったお二人の合作に注目したコーナーへと続きます。
石塚不二太郎の描き下ろし単行本『その仮面をとれ!』(1957年)、いずみあすかの『そしてミヤはいなくなった』(1958)の原稿、U・マイアの『くらやみの天使』(1958)の原稿が展示されています。
ギャグマンガ、少女マンガといった同一テーマの石ノ森・赤塚作品を並べて展示する「VS」というコーナーも。ギャグマンガは石ノ森先生『テレビ小僧』、赤塚先生『ナマちゃん』、少女マンガは石ノ森先生『龍神沼』、赤塚先生『おかあさんのうた』がセレクトされています。
■第四章「その後のふたり」
お二人の代表作といえる作品たちの原稿で構成された章です。
石ノ森先生なら『さるとびエッちゃん』『サイボーグ009』『仮面ライダー』など、
赤塚先生なら『ひみつのアッコちゃん』『おそ松くん』『天才バカボン』などです。
今回の企画展のラスト展示は、
石ノ森先生による『おそ松くん』のパロディ作品『はや松くん』の原稿と、赤塚先生による自筆エッセイ「石ノ森のこと」の原稿です。
「石ノ森のこと」を直筆原稿で読めてジーンとしました。
企画展示室を出て、グッズ売場へ。
・企画展「ふたりの絆 石ノ森章太郎と赤塚不二夫」オリジナルのマグカップを購入しました。赤塚先生の『トキワ荘物語』をあしらったデザインにホレボレ。
・『まんが 赤塚不二夫伝 ギャグほどすてきな商売はない!!』もトキワ荘マンガミュージアムのグッズ売場で入手しました。
この前日に、本書の企画者で出典解説を担当しているフジオ・プロの松木くんと会う機会があって、この本についておしゃべりしたばかりだったので、そんなホットなタイミングで購入できて嬉しいです。
『まんが 赤塚不二夫伝 ギャグほどすてきな商売はない!!』は、赤塚先生の自伝的まんがと記念碑的まんがを集めて赤塚先生の人生をまんがで振り返ろうという本です。
単行本初収録作品がいくつもあったりします。
そして本書には、デビュー前の作品『ダイヤモンド島』『シエリフジヨン』が記念碑まんがとして収録されています。先述のとおり、特別企画展「ふたりの絆 石ノ森章太郎と赤塚不二夫」の第一章でこの2作品の直筆原画を見られます。
・入場時にランダムでもらえる缶バッジは帰宅してから開封したらナマちゃんでした♪
トキワ荘マンガミュージアムを出て、ふるいちトキワ荘通り店へ。
このふるいちトキワ荘通り店の、道路を挟んだ向かい側あたりに新たな施設がオープンしました。
それがこちらです!
・1階はふるいちトキワ荘通り店のカフェスペース【KURA】、2階がトキワ荘マンガミュージアムサロン。
12月9日にオープンしたばかりの「トキワ荘マンガミュージアムサロン」の様子。日本各地のマンガ関連の展覧会や催しの情報を得られるとともに、無料で休憩できる空間です。
・2階から眺める南長崎花咲公園がちょっと新鮮。
・以前から営業しているふるいちトキワ荘通り店に飾ってあった色紙が、このたび新たにオープンした店舗【KURA】の階段の壁に移されていました。
階段ののぼりはじめで原田高夕己さん、金子志津枝さん、ときわ藍さんという並びは個人的にテンションが上がります😊
それぞれの色紙の作者がどなたかわかるよう、いずれネームプレート的なものを付けたい、と店内におられた責任者の方がおっしゃっていました。
・私が行った日は、食材手配の関係でカフェスペースの飲食サービスが早めに終了していました。次に訪れときはここで飲食したいです。
開設10周年を迎えたトキワ荘通りお休み処にも足を運びました。
・1926年築の吉津屋米店の建物を10年前にリノベーションしてオープンしたのがトキワ荘お休み処です。
・トキワ荘通りお休み処の建物のオーナーさんが小学生のころトキワ荘を訪ねて赤塚先生と石ノ森先生からもらった直筆画&サインが特別展示されていました。この特別展示は12月24日までとのこと。
・今月90歳になられた鈴木伸一先生が、以前お休み処を訪れたときノートに書き残したイラストです。
お昼は松葉でラーメンとチューダー!
ここぞとばかりにンマーイ!!
※トキワ荘マンガミュージアムの企画展で展示されている原稿は、直筆もあれば複製もあります。直筆が多かった印象ですが。
※この日実際にめぐった順序は、椎名町駅→トキワ荘お休み処→松葉→トキワ荘マンガミュージアム→ふるいちトキワ荘通り店→ふるいちトキワ荘通り店蔵【KURA】&トキワ荘マンガミュージアムサロンです。